胃がんについて

胃がんについて

死亡者数は肺がん、大腸がんに次いで第3位

胃がんは東アジア(日本、韓国、中国)に特に多い病気です。日本人では胃がんにかかる方は40歳以上で多くなります。ただし近年、胃がんによる死亡数は減少傾向で、増加している肺がん、大腸がんに次いで2014年現在第3位です。男女別では男性では2位、女性では3位となっています。高齢化の影響を排除して計算(年齢調整死亡率)しても、減少傾向です。

胃がんの原因として、ヘリコバクターピロリ菌感染、高塩分食や喫煙などの生活習慣が挙げられます。特に中高年では、ヘリコバクターピロリ菌の感染率が高く、胃がんの発生に大きく関与すると考えられます。

胃がんは、早期の段階では自覚症状がなく、定期的な検診を受けることが非常に大事です。

早期ではほぼ無症状

病気が進行すると、吐き気、嘔吐、吐血、腹痛、貧血によるふらつきなどが起こり得ますが、早期の場合はほとんど無症状です。

診断は胃内視鏡検査(昔は胃カメラと呼ばれました)と病変からの組織検査、血液検査、胃X線検査やCT検査によって総合的に行われます。胃内視鏡検査で胃の内部を見て、形態、色調などからがんが疑われる部位の組織を一部採取し(生検)、病理診断を行います。胃X線検査で深さや広がりを評価し、血液検査(腫瘍マーカー)やCT検査で転移がないかを調べます。

ステージⅠでも胃の温存も

治療には内視鏡治療、外科手術(開腹ないし腹腔鏡手術)、化学療法、放射線療法があります。

がんの深さが粘膜にとどまり、転移のない早期胃がん(ステージⅠ)であれば、内視鏡によりがんだけを胃壁から剥がす内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)により、胃を温存して治療を行うことができます。この際、切除した胃がんの病理検査の結果、とり切れていない、または再発・転移の危険性が高いと判断される場合は、追加の外科手術が必要になることがあります。

ESDによるがん切除

がんが深い、または転移が疑われるようであれば(ステージⅡ、Ⅲ)、標準治療は手術となります。

胃全摘、幽門側胃切除(出口側2/3切除)が標準手術として行われます。周囲のリンパ節も同時に切除します。他に早期がんであれば噴門側胃切除(入口側の切除)あるいは幽門温存胃切除(入口出口を温存し中間を一部切る)が行われることがあります。腹腔鏡手術も広がっており、特にリンパ節転移のない早期胃がんに対する腹腔鏡下幽門側胃切除は一般的な術式になりつつあります。

腹腔鏡下幽門側胃切除

化学療法著効後の手術に注目

ステージⅡ、Ⅲのがん(一部除く)には、術後の再発予防のために化学療法が適応になります。

肝臓や肺など他の臓器に転移があり、切除不能の場合は(ステージⅣ)、治療目的の化学療法が行われます。

化学療法が著効した場合、あらためて切除手術を行う治療(conversion surgery)が可能な場合があり、注目されています。

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