日野医師インタビュー
そんな時は整形外科にご相談を。
症状から病態を見極め、
適切な治療を心掛けています。
整形外科は頭部を除く、四肢・体幹・脊椎の筋骨格系を守備範囲とする診療科です。疾患の多くは、加齢に伴う変性疾患とスポーツや事故等による外傷性疾患であり、その多くは「何かをすると痛む」というのが特徴です。
時に、整形外科には「何もしなくても痛い」や「周期的に痛む」といった症状で受診されることもありますが、そのような痛み症状は、稀に心疾患や腹部臓器疾患を由来とする「内因性疼痛」である可能性もあるため、患者さん、特に初診の問診や診察は、診察室に入ってくる時の表情や歩き方、話し方をはじめ、できるだけ患部に触れて確認をしながら慎重に行い、適切な検査や治療の組立てを行うよう心掛けています。
外来での待ち時間が長いと感じる事があるかもしれませんが、このような背景があることをご来院の皆さまにご理解して頂ければと思います。
さて、整形外科の治療には以下の3本の柱で成り立っています。
①投薬治療 ②リハビリテーション治療 ③手術治療
通常初期治療では①②の組み合わせで経過観察し、症状が改善しなければ③を検討します。術後もリハビリが必要になるので、②と③もセットと考えた方がよいでしょう。
①は「科学の力」、③は主に「医師の技術力」に大きく依存していますが、さて②はどうでしょう。
②にとって重要なのは「患者さんの力」だと私は考えています。
リハビリというのは、①とも③ともセットで行われ、治療全般に関わってきます。患者さん自身が治ろうとする意志や覚悟、そして努力が治療を進める原動力だからです。病院での治療は、患者の持つ治癒能力を最大限活かせる環境をつくることであり、時間をかけて治してゆくのは患者自身の治癒能力なのです。
整形外科では、治療上、必要に応じてリハビリすることをお勧めしています。
「私(医師)とあなた(患者)で、一緒に頑張りましょう」の意味を込めて。
原因がわからない痛みは、不安と重なってより不快に。診察や検査で不安を払拭すれば、身も心も身軽に。
「痛み」とはなんでしょう。 これは人間がもつ、身の危険を知らせるための生体防御反応の1つです。この「痛み」は、同じ刺激を加えても人によっては感じ方が全く異なる場合があります。その理由の1つは、 痛みに対する恐怖や不安が関係しているからだと言われています。
はじめは痛くて受診をされた患者さんが、診察や検査をして痛みの原因をはっきりさせることで納得し、薬ももらわずに帰られることがしばしばあります。
これはつまり、「得体のしれない痛み」から「正体の分かる痛み」になったからであり、診察や検査を受けることで「大きな間題」から「小さな問題」に変化したからです。
このように、同じ痛みであっても患者さんの痛みとの向き合い方によっては治療方針が大きく変わってくることが分かります。ただ痛み止めを処方するだけでなく、痛みとの向き合い方を変える手助けをすることも、臨床医には必要なスキルなのだと思います。
特に外傷もなく発症した痛みなどは、「得体のしれない痛み」ですが、そんな時はご自身の生活習慣や生活環境を見直してみてください。人によって生活スタイルは様々です。知らず知らずのうちに、患部を酷使していたり、負荷をかけてはいないでしょうか?
このように、疾患の鑑別において、住居の構造や立地、仕事内容や通勤手段、プライベートな趣味や運動習慣など、あらゆることを確認しなければ見えてこない病態もあります。個人的なことを根掘り葉掘りと聞くようですが、病態解明にはとても重要だったりするのです。
生活の質を重視した手術を行っています
昔と違って今は90歳でも100歳でも、本人とご家族が希望して手術前のスクリーニングで問題がなければ、積極的に手術をします。90代で畑仕事をして、家でも普通に生活していた患者さんなら手術をしています。歩けなくなると、生活の質が完全に落ちてしまうからです。人間にとって歩けることは、残りの人生を左右する大きな要素になりますので、もちろんリスクはありますが、可能であれば手術をした方がいいと思っています。
高齢の患者さんの場合、性格とか家庭環境、生活状況、介護度などを把握した上で総合的に判断していますが、その後、介護施設に入所するケースが少なくないので、車いすを使うことになっても入所後の生活の負担を軽減するために手術する場合があります。本来、手術は歩けるようにするためのものですが、痛みをコントロールしたり、介護をしやすくしたりするための手術治療が、高齢化社会において選択肢として出てきました。純粋に医療だけの問題ではなく、介護も見据えて治療をしていく必要性を感じています。
情報社会の中で起きる痛みにも速やかに対応しています
近頃は受験勉強が過熱して、特に冬場の受験シーズンが近づくと、子どもの腰痛とか肩こりが増えてきました。スマートフォンの普及で首の骨が真っすぐになってしまうストレートネックになる人が増えているのを診ると、整形外科は時代を反映していることを感じています。昔は足腰や膝の痛みは肉体労働が原因となることが多かったのですが、今はデスクワークやパソコン作業による首や肩の痛みに変わっているようです。
いろいろな情報が氾濫する中で、インターネットなどで知識を得て、思い込みで来られる患者さんがいるので、困ることがあります。すぐに治らないと、自分が思った通りの治療をしないからだと思われるケースもあり、スムーズな治療ができないことがあります。
情報社会であるにも関わらず、必要な応急処置の知識を持っている人が少ないようにも感じます。例えば足をくじいて腫れているのに、お風呂に入って症状が悪化して来院する方がいますが、腫れているところを温めたら痛くなるのは当たり前です。もう少し基礎知識があれば、ひどくならずに済み、病院に来ることもなかったかもしれないと、残念に思うこともあります。
一人一人に合った治療方針をこれからも立てていきます
今までもそうですが、これからも患者さんの将来設計を加味した上で治療方針を立てるオーダーメイド、テーラーメイドの医療を続けていきます。当院は小回りが利く病院ですので、かかりつけ医のようにしていただければと思います。簡単な手術だったらここでもできますし、難しい手術だとしても然るべきところをご紹介します。
痛みがあったり、違和感を覚えたりしたら、とりあえず相談していただければ、ご期待に応えることができます。安心してお越しください。
プロフィールProfile
診療科 | 整形外科 |
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所属学会 | 日本整形外科学会認定専門医 産業医 |
症例実績例 |
手根管開放手術 骨折観血的手術 上腕・大腿・前腕・下腿・鎖骨 骨内異物除去術 上腕・前腕・下腿・鎖骨・足 関節内骨折観血的手術 肘・足 人工骨頭挿入術 股 |