液濾過透析(HDF)
血液濾過透析(on-line HDF)
血液透析に、極めて清浄な20~80Lの透析液による大量補液(透析液を体に補う事)をしながら血液濾過を付け加えた、最も体に負担の少ない生理的な治療法です。透析装置内から透析液を分流させ、ヘモダイアフィルターという特殊な膜を使い、ヘモダイアフィルター前で透析液を入れる濾過方法で、国から認可された高度な透析装置でしか行えない治療法です。
元々、血液透析は余分な水分の除去(除水)に限外濾過というマイナスの圧力(陰圧)を装置内の除水ポンプで加えています。そこに大量の補液を行うことで、より強い陰圧を加え、サイズの大きいβ2-ミクログロブリン等の物質を効率的に除去することが可能になり、手根管症候群や関節痛、かゆみなどの軽減に効果があるとされています。
また、血液透析の仕組みである拡散の力がマイルドになるため、やや拡散効率は下がりますが、血圧低下や気分不快・疲労感が起こりにくく、血液透析では除去しにくい尿毒症性物質が除去可能となり、身体への負担が軽減されます。
血液濾過透析(off-line HDF)
On‐LineHDFと異なり、プラスチックバッグ内に入った4~10L程度の専用補液をヘモダイアフィルター後の回路に入れ、取り出した血液から補液分を濾過します。
血液が薄まっていない状態で濾過を行うので、より大きいサイズの毒素を除去することに優れています。しかし、国の取り決めで使用できる補液の量が決まっているので、大量補液は行えません。
この治療法も、血圧低下による透析困難症、頭痛や吐き気などの透析不均衡症候群などの軽減、β2-ミクログロブリンの除去に効果があります。
間歇補液療法(i-HDF)
間歇補液療法は、通常の血液透析に一定時間ごとに100~200mLの補液を行い、通常の除水に補液分を上乗せして除水を行っていく治療法です。
ヘモダイアフィルター内の透析液側(ストロー外側)から血液側(ストロー内側)に向かって染み出すように補液を行うので、ヘモダイアフィルターのファウリング(治療時間経過に伴う膜の目詰まり)の改善に効果があり、各尿毒性物質の除去効率向上が期待されます。また、一定時間ごとに補液を行うことで、透析中の末梢循環動態改善(治療中の末梢血流の改善)と治療中における血圧の安定が期待できます。